2013/09/04

あれっ、二酸化炭素は?…昔は「電気」が付いていた

人間はまことにもってワガママな動物だ。つい先日まで、あれほど「暑い!暑い!」と騒いでおきながら、今となってはもう誰もそんなことは口にしない。

島原界隈の世間一般における〝繰り言〟の中心は今や「雨!雨!雨!」。本格的な台風シーズンに突入したのだから仕方のないこととは言え、やはり身勝手の感はぬぐえない。

全国ニュースで「やれ何処そこで気温が40℃を超えた」などと取り上げられていた最中に、弊社のスタッフの一人が朝礼で面白いことを言っていた。

《二酸化炭素排出量云々の話はどこへ行ったのでしょう?それよりも今は『熱中症に罹らないように適度に冷房を入れましょう』などと至る所で喧伝されています。つまりは、人間なんて目先のことしか考えられないのではないでしょうか?》

ヒートアイランド現象に節電要請、原発の再稼働に賛成VS反対…。今の世の中、一体何が正解なのか分からなくなってきているのではないか?

数日前の新聞に「パナソニック製の洗濯機の生産台数が1億台を超えた」という記事が出ていた。それによれば、第1号機ができたのは昭和26年の9月。実に62年をかけての大台達成である。

同社の創業者である松下幸之助さんは「家庭の主婦を家事の重労働から解放する」と開発の意義を語ったそうだが、値段を聞いてビックリした。

何と5万3000円もしたのだそうだ。当時のサラリーマンの平均給与の約8カ月分ということだから、婚約指輪(通常、約3カ月分)の遥か上をいっていた、というわけだ。

テレビ放送(白黒)が始まったのはそれより遅れること約2年。これに冷蔵庫が加わって「三種の神器」と言われていた。

しかし、よくよく考えてみれば、洗濯機もテレビも冷蔵庫も「電気」がなければ、ただの「箱物」にしか過ぎない。

筆者の記憶では、さすがに「電気テレビ」とまでは言わなかったものの、洗濯機にも、冷蔵庫にも、その頭には「電気」の二文字が冠してあったように思う。違うだろうか?

いつしか、我々は電気があるのは「至極当然のこと」と考え始めるようになった。だからこそ誰も、「電気洗濯機」「電気冷蔵庫」などとフルネーム(?)で呼ばなくなってしまったのである。

余談だが、日本における「原子力発電の父」と言われているのは、読売新聞社主などを務めた正力松太郎さん(元警察官僚、政治家、実業家)である。

この人物の評価は他に委ねるとして、「プロ野球」や「民放テレビ」などもすべて、この〝大正力〟(影響力の大きさでそう呼ばれていた)が我が国に種を蒔いたものだ。

洗濯機の記事を読みながら、柄にもなく「当たり前生活」の是非を考えてしまった。