ポケベル方式の限界…島原は“多重構造”で対応
春の陽光を一身に浴びて木々の若葉がそよ吹く風に揺れている。もう20年以上が経過した普賢岳噴火災害の折は、我が古里は周囲すべてが「灰色の世界」で、陳情&請願に訪れた東京の街路樹の美しさにふと、忘れかけていた緑陰の安らぎを覚えたものだった。
前置きが長くなってしまったが、先週、NBC(長崎放送)が夕方のニュース枠の中で、県内各地で見直しが進められている「防災行政無線」の問題を取り上げていた。
なぜ島原を取材してくれないのか不思議でならないが、同番組では大村市で導入が検討されている280メガヘルツ帯の「ポケベル方式」(同報無線)を盛んに持ち上げていた。
率直な印象を言うと、「素人の発想だな」と感じた。幾つか気付いた点を列挙すると、災害発生時に「キーボード入力」(その後に音声化)にだけ頼っていては、臨機応変の対応など出来るはずがない。指先が震えてパニックに陥るのがオチだ。
また、ポケベル信号の特性としては、直進性にすぐれているので街中の建物などでは威力を発揮するが、一方で山間の集落には届きにくい、という。
さらに言うなら、最大の欠点は「降雨減衰」(豪雨の日に使えない)という重篤なアキレス腱を抱えており、東京の基地局とCS回線で繋ぐという二頭立て体制も看過できない。関東地方で地震災害等が起きたらどうするのか?
翻って、地元のコミュニティFM電波を使った我が「島原方式」は、「音声入力」も可能な上、スマートフォンなどのアプリとも相性が良く、発信局の移動も自由自在。つまり、二重&三重の構えで災害に備えることが出来るのである。
こんな事を書くと、「お前さんは当事者だから、そんなことを言うのだろう」との批判は免れまい。立場からすれば確かにそうだが、敢えて反論させていただくなら、こと「防災」に関しては、そんじょそこいらの方々とは「キャリア」が違う。もう20年以上も前から、常に「防災」を念頭に置いて放送と通信の仕事に励んできたのだ。
先の東日本大震災でCATV等々の有線システムの限界は如実に証明された。その実相を確かめるべく弊社のスタッフは幾度も被災地に足を運び、そして現地の声を直接聞いて編み出したのが「FM++」という新手のアプリ方式(特許出願中)だ。
すでに島原市においては外務省のODA(政府開発援助)にも採用される予定の「コムフィス」という防災ラジオの全戸配付(本年度内)が決まっている。コムフィスに関しては、先月、NHKのBSプレミアム放送(インドネシア編)の中で、その優位性が逐一紹介されていた。
「防災」に勝ち負けはない。ただ、少なくとも経験則がある分、「大村方式」よりは遥かに実効性に富み&信頼度も高い、と自負している。妄言多謝。
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