病気より悪質な〃噂…風評被害に迷惑してるぞ!!
‐(株)ケーブルテレビジョン島原専務 清水眞守‐
本格的な冬の訪れに合わせて、今年も「インフルエンザ」の大流行が心配される。老婆心ながら、早目の予防注射の接種をおすすめする。受験を間近に控えた中・高生諸君にとっては尚更のことだ。
元々「インフルエンザ」という医学用語は、英語で「影響(力)」という意味の「インフルエンス」から来ている、と聞いたことがある。つまりは「風邪のウイルス菌」が人体に悪影響を及ぼすのだ、と。
ところが一方で、人間社会には、時節を問わず純朴な人々を惑わす「病原菌」をやたらと撒き散らす「不逞の輩」が必ずいる。ある意味、病気なんかよりさらに性質(たち)が悪い。
端的に言うと、根も葉もない「噂」というものである。「人の噂も七十五日」という諺(ことわざ)は「起きてしまったことはしょうがない」という諦観を表すものだが、その種の「噂」には「相手を貶(おとし)めよう」との悪しき魂胆が含まれている。
別の表現で言えば、「風評被害」である。古くは普賢岳の噴火災害時に出回った「眉山崩壊説」。タレント出身の女子プロレスラーMの「預言」によるものだったそうだが、何とも愚かしい「空騒ぎ」であった。
そう言えば、長崎出身のコーラスグループ「内山田洋とクール・ファイブ」のヒット曲に、『噂の女』というのがあった。
〈♪女心の悲しさなんて わかりゃしないわ 世間の人に よしてよしてよ なぐさめなんか 嘘と泪のしみついた どうせ私は 噂の女♪〉
昭和45年、銀座を代表する高級クラブのママ、山口洋子の手になる歌詞だが、2番、3番の結びの部分は〈夢を消された 噂の女〉〈弱い私は 噂の女〉と続く。
何も考えずに聴いていた中学生当時と違って、年齢を積んだ分だけ「多少とも『女心』がわかるようになった」(?)ので、今ではその意味合いがズシリと響く。なんちゃって?
ここで描かれているのは「夜の社会における男女の恋物語」であって、「ネタミ」や「ソネミ」「裏切り」といった虚々実々の「駆け引き」に疲れ果てた「オンナの本音」である。
「噂」が「噂」を呼び、際限のない「人間不信」に陥ってしまう、か弱き女性。底流をなすのは『カスバの女』(昭和30年作)と同じ思想だ。
「人の口に戸は立てられない」とは昔から言われている「人間の悲しい性(さが)」を指し示す言葉だが、それを逆手にとって、何の根拠も無いことを吹聴したところで、一体何が楽しいのか…。
今日は何かしら奥歯にモノがはさまったような言い方に終始したが、「悪意に満ちた与太話」で、実際に大きな迷惑・被害をこうむっている企業や医療関係者などがいることを、皆様方に是非お知らせしたかったのである。